文書作成日:2026/06/02
労働者災害補償保険(労災保険)は、労働者の業務中や通勤途上の災害等に対して保険給付を行うものであり、労働者ではない事業主や法人の役員等は、原則として被保険者とはならず、保険給付の対象にもなりません。ただし、中小企業の事業主等で、労働者でなくとも、業務の実態や災害の発生状況から見て、労働者に準じて保護することがふさわしいと認められる場合には、一定の手続きを経ることで、労災保険に任意で加入することができます。この仕組みを「労災保険の特別加入」といいます。以下では、特別加入における給付基礎日額の決定方法、変更方法および変更時の留意点をとり上げます。
[1]特別加入者の給付基礎日額の決定方法
通常の労働者が業務中に発生した災害により、労災保険から休業にかかる給付を受け取る場合等においては、災害が発生したときの平均賃金をもとに給付される日額(給付基礎日額)を計算します。これに対し、特別加入者の給付基礎日額は、事前に16に分かれた給付基礎日額(3,500円〜25,000円)から一つを選択し、申請を行い、労働局長の承認を受けたうえで決定されます。なお、一旦、決定された給付基礎日額を、年度の途中に変更することはできません。
[2]特別加入者の給付基礎日額の変更方法
特別加入者の給付基礎日額は、年度単位(4月から翌年3月)で変更することができ、変更のタイミングは2つあります。1つ目が事前申請といわれ、3月2日から3月31日までに申請をすることで翌年度の給付基礎日額を変更する方法です。そして、2つ目が労働保険の年度更新期間中である6月1日から7月10日までに行うことにより年度の初日に遡って変更することができます。この際、給付基礎日額の変更申請前に災害が発生している場合は、当年度の給付基礎日額変更は認められません。可能な限り、給付基礎日額の変更は、事前申請での対応としたいところです。
給付基礎日額の変更によって、休業等に係る給付の額が変わるほか、負担する保険料の額も変更となります。すでに令和8年度の年度更新の期間に入っていることから、特別加入者のいる企業では、一度、給付基礎日額が適当な額になっているか確認しておくとよいでしょう。なお、特別加入をするときには、労働保険事務組合に労働保険の事務処理を委託している必要があります(海外派遣者の特別加入を除く)。
■参考リンク
厚生労働省「労災保険 特別加入制度のしおり(中小事業主用)」
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
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